星出宇宙飛行士による小型衛星放出機構プレス公開と記者会見を開催:JAXA宇宙飛行士によるISS長期滞在 - 宇宙ステーション・きぼう広報・情報センター - JAXA
2012年1月25日、筑波宇宙センター(TKSC)にて、訓練のため日本に帰国中の星出宇宙飛行士による「きぼう」日本実験棟の小型衛星放出機構のプレス公開と記者会見が行われ、多くの報道関係者が集まりました。
星出宇宙飛行士は、国際宇宙ステーション(ISS)第32次/第33次長期滞在クルーとして、2012年初夏頃から約6ヶ月間、ISSに滞在する予定です。なお、星出宇宙飛行士がISS長期滞在を開始する前の日本への帰国は、今回が最後の機会でした。
記者会見に先立ち、TKSCの衛星試験棟クリーンルームにて、機能確認試験など打上げに向けた準備が進められている小型衛星放出機構のプレス公開が行われました。公開では、小型衛星放出機構のフライト品を前に、JAXA有人宇宙環境利用ミッション本部JEM運用技術センターの土井主任開発員が機構の解説を行い、星出宇宙飛行士が、自身が軌道上で行う作業について説明しました。
小型衛星放出機構は、「きぼう」のロボットアームに把持され、機構に装着した小型衛星を軌道上に放出するシステムで、宇宙ステーション補給機「こうのとり」3号機(HTV3)でISSへ運ばれる予定です。この機構を使用した小型衛星放出技術実証ミッションで放出される小型衛星は、公募で選ばれた大学などが製作を担当します。
- 「きぼう」からの小型衛星放出実証ミッションに係る搭載小型衛星の選定結果について
星出宇宙飛行士は、ISS長期滞在中に小型衛星放出機構の組立てや「きぼう」のエアロックを通じたISS船外への搬出など、小型衛星放出技術実証ミッションに関する作業を軌道上にて行う予定で、それらの作業の訓練を今回の帰国中に実施します。
小型衛星放出機構のプレス公開終了後、記者会見室にて会見が行われました。
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星出宇宙飛行士は冒頭の挨拶で、「滞在中、ISS内でさまざまな実験を引き続き行いますが、科学実験をはじめ、人文、文化・芸術系、教育の方面でもがんばりたい」とISS長期滞在に向けた抱負を述べるとともに、自身の初飛行であり「きぼう」船内実験室を取り付けたSTS-124(1J)ミッション(2008年)に触れ、「その時にはまだ使われていなかった「きぼう」を、今度は研究者や運用管制チームなどの仲間と一緒に使うことにワクワクしています」と語りました。
挨拶の後、質疑応答が行われました。ISS長期滞在開始への意気込みや星出宇宙飛行士自身に関すること、今後の日本の有人宇宙開発についてなど、報道関係者からの多岐にわたる質問に、星出宇宙飛行士は時に笑顔で、時に真剣な表情を浮かべながら、ひとつひとつ丁寧に答えました。
ISS長期滞在開始を控えた心境についての質問に、星出宇宙飛行士は、長期滞在宇宙飛行士として先輩である日本の3名の宇宙飛行士(若田、野口、古川宇宙飛行士)や、NASAなど国際パートナーの宇宙飛行士からアドバイスを受けながら、「宇宙滞在を楽しんで過ごしたいと思います」と語りました。また、「初めての飛行ではないので不安はありません。米国ヒューストンの地上管制チームは、自分もCAPCOM(Capsule Communicator)として働いた経験があり、気心が知れた仲間で、その点でも不安はありません」と述べました。
宇宙飛行士としての個性に関する質問には、「自分はエンジニアなので、エンジニアや運用者としての観点で話をしたい」と答え、NASAからも一目置かれる「きぼう」や「こうのとり」など日本の技術力の高さ、国際パートナーの宇宙機などについて分かりやすく伝えることや、宇宙を身近に感じてもらえるようなメッセージを発信したいと述べました。
- 「きぼう」日本実験棟
- 宇宙ステーション補給機「こうのとり」(HTV)
また、今後の日本の有人宇宙開発についての質問には、古川宇宙飛行士のISS長期滞在により日本人宇宙飛行士による累積宇宙滞在日数がロシア、米国に次いで世界第3位となったことに触れ、これらの宇宙滞在経験の蓄積や、「きぼう」や「こうのとり」を開発した技術を積み上げることにより、日本独自の有人宇宙機を開発することは可能であるとの意見を述べました。
星出宇宙飛行士は、「私のみならず日本人宇宙飛行士全員の意見として、"種子島から宇宙へ"、自国の宇宙機で宇宙へ行きたいという強い思いがあります」と語るとともに、「日本の有人宇宙開発の次のステップは、有人宇宙機を作って運用するというプロセスです。時間も人もお金も必要ですが、将来に向け、日本の高い技術力をもって行うべきだと考えます」と述べました。
記者会見の後、写真撮影の時間が設けられました。星出宇宙飛行士は、笑顔で撮影に応じました。
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