寝具の選び方|ぐっすり眠れる寝具
抗菌防臭加工は清潔さの代名詞
寝具から細菌をシャットアウト
ふとんやカバーリングなどの寝具には「抗菌防臭加工」という表示がされているものがあります。これは清潔度が高い寝具であることを保証する表示ですが、言葉だけがひとり歩きして、実際のところ、どんな加工が施されているか、知っている人は少ないでしょう。
私たちの体は毎日新陳代謝を繰り返しています。とくに就寝中は人量の汗をかきますし、寝具には体のあかや汚れも付着します。ここから微生
物が繁殖し、数を増やして、においを発生することにもなります。細菌が分泌する有機酸やアミン類がにおいの原因になるのです。
「抗菌防臭加工」はこうした徹生物の増殖を抑制したり、殺したりするための加になのです。
洗濯しても効果は持続
「抗菌防臭加工」の方法には次のようなものがあります。
- 繊維の糸の中に銀、亜鉛、銅などの金属を付着させたゼオライトを抗菌剤として練りこむ方法。
- 有機シリコン第4級アンモニウム塩などの抗菌剤をすでにでき上がった繊維に施す方法。
「抗菌防臭加工」は毒性試験や皮膚試験で間題がなく、安全性が確認されています。また、洗濯をしても、洗い流されてしまうことが少なく、効
果は長続きします。ぐっすり眠るためには、清潔な寝具で眠ることは最低限の条件です。ふとんを干す時間がない共働きの家庭などには、「抗菌防臭加工」寝具はおすすめです。
取り扱いは絵表示を見て
「抗菌防臭加工」のされた製品を洗うときは取り扱い絵表示にしたがいましょう。また、クリーニングに出すときは、加工してあるということをお店にきちんと伝えてから出しましょう。取り扱い表示が製品に縫いつけてないものが多いので、注意が必要です。
SEKマークは、繊維製品衛生加工協議会【SENI SEIHIN 】(SEI KAKOKYOGIKAI )の頭文字を取ったものです。
自分に合ったサイズの寝具で眠りたい
ふとんもロングサイズの時代がきた
日本人の平均身長が年々伸びてきていることは皆さんご存じのことでしょう。
25歳成人男子の場合、1978年には167.5cmでしたが、88年には170.7~になり、3cm以上伸びています。同年齢の女子の場合は、78年の155・3cmから88年には156・7cmになり、約1.5cm伸びています。
日本人の体の伸びに合わせて、デパートや人手スーパーマーケットでも、従来の丈の長さよりさらに数センチ長めのトールサイズの衣服が販売されてきています。
衣類に限らず、大きいサイズのふとん、4Eサイズの靴、人きい人のための半径の長い傘、トールサイズの浴衣など、消費者のニーズに細やかに対応した商品が販売されています。
寝具は毎日使うものですから、寝ごこちを考えると、どのような大きさにするかは重要なポイントになります。
あなたの体格に適した長さは?
寝具のサイズについて小原二郎氏(千葉工業人学教授)が男性を対象に実験を行ったところ、寝返りも考慮した上で必要な敷寝具の最小限の幅は70cmと発表しています。ちなみに梁瀬度子氏(奈良女子大教授)が女性を対象に行った実験では最小限の幅は60cmでした。
通常、敷寝具の幅は肩幅の2.5~3倍必要といわれています。また、小原氏の調査によれば、各人の体格に合った寝具の長さについては、次のような数式で求められます。
●長さ=身長×1・05+10cm+5cm(10cmは頭部の余裕で、5cmは足部の余裕)
JIS規格では敷ふとんのMサイズは、幅100cmで、長さは195cmですが、あなたの体にうまく合う人きさでしょうか。体の人きな日本人が増え、おそらく今後は、現在需要が多いMサイズのふとんよりロングサイズのニーズが高まるでしょう。
サイズはメーカーにより異なる
また、JISの規定には許容差があるため、S、M、L、SW、Wとサイズが表示されていても、各メーカーによって多少サイズが異なります。
寝具は敷ふとんにシーツや毛布、掛ふとん、カバーリングを組み合わせて使用するものです。サイズが統一されていないために、組み合わせが自由にできない不都合が生じることもあります。
個々の寝具のサイズに統一性をもたせることが今後の課題といえるでしょう。
夢と機能性の二本立てで選ぶナイティ
ネグリジェとパジャマ、どちらが快適?
ホームファッションの世界が広がって、ナイティのおしゃれを楽しむのは、もう特別なことではなくなってきました。そのまま外出着としても通用するようなファッショナブルなものから、リラックスできるラフなウェアまでさまざまです。
さて、ナイティといえば、ネグリジェとパジャマに分かれますが、あなたはどちらを愛用していますか? 共立女子大学家政学部の女子学生にア ンケートを試みた結果、圧倒的にパジャマが支持されました(81パーセント)。意外にネグリジェの愛用者は少なく(1パーセント)、それ以外の 人はスウェットやTシャツにショートパンツ、スポーツウェアなどを着用しています。
ナイティの素材になると縮か大多数を占めていました。体をリラックスさせる時間にはやはり天然素材のほうが快適だということなのでしょう。
ところで、パジャマとネグリジェではどちらがよく眠れるのでしょうか。睡眠中にパジャマとネグリジェを着用したときの寝返りなどの体動を時間を追って調べたところ、パジャマの場合の体動は、1時間に6.3回、ネグリジェは6.7回でした。
また、パジャマとネグリジェを着用したときのそれぞれのすその動きを調べると、ネグリジェのほうがずっと人きくなっています。睡眠中の動きは少ないほど快適と考えられますので、パジャマのほうが安眠できるという結論が得られます。
しかし、ナイテイは機能性ばかりでなく、雰囲気を楽しむものだということを忘れてはならないでしょう。要は、パジャマでも、ネグリジェでも、Tシャツにショートパンツでも、あなたがお気に入りで、あなたの感性に合うものが、結果的には気持ちよく眠れるナイティなのです。
ちなみにデパートではパジャマは寝具売り場に、ネグリジェは下着売り場に置いてあるとか。ネグリジェは下着的な要素があり、ファッション
性が高いということかもしれません。
銀器を明るくする方法
シルクのナイティが人気上昇中
天然素材といえば、最近はシルク100パーセントのナイティも人気です。絹ふとんの項でシルク素材の特長について述べましたが、シルクは健康面からも脚光を浴びています。
タンパク質が成分であるシルクは、肌になじみやすい特性があります。つまり、素肌に直接つけるナイティの素材としては最適の性質を備えてい ます。季節も間いません。
いままでは高くてなかなか一般には浸透しなかったシルクですが、円高の影響で外国からの輸入が増え、リーズナブルな価格で手に入るように なりました。
しかし、品質表示では絹100パーセントとなっていても、繭から紡いだ良品もあれば、くず絹でつくった粗悪品も混じっていることがあります。良 品か粗悪品かは見ただけでは区別がつかないので、判断基準はやはり値段ということになります。
シルク製品はこれからさらに安くなる傾向ですが、それでも、あまり安い商品には手を出さないほうが無難です。
ゆとりのあるサイズを選ぶ
私たちの体には、睡眠中さまざまな変化が現れます。たとえば、血圧は入眠とともに下降し、その後、しだいにL昇カーブを描き、朝方にはかな り高くなります。
このとき、ウェストのゴムがきつかったり、袖口を締めつけるデザインのナイティは、血液の循環が悪くなって、うっ血によるむくみを起こすことがあります。とくにゴムによる腹部の圧迫は内臓への影響も考えられます。
ナイティは自分のサイズより少し大きめのもので、デザイン的にはボタンやリボンなどの飾りの少ないシンプルなものがよいでしょう。
また、ひと晩にコップー杯分もの汗をかきますから、その汗を吸い取り、放湿する機能も不可欠です。
清潔なナイテイで気持ちよく
汗を吸い取るナイティは頻繁に洗う必要があります。洗濯に耐える素材としては、綿がいちばんですが、シルクも家庭で洗えるものがあります。
とはいっても、シルクは洗濯機で丸洗いするのは避けて、大切に扱いたいものです。
取り扱い表示をよく読み、できる限り手洗いでシルク専用の洗剤を使って洗い、干すときも直射日光にあてないようにしましょう。
シルバーエイジのための健康で安全な寝具
眠りの特徴を知って安眠に導く寝具を選ぶ
高齢者の睡眠が浅くなり、夜中に目覚めたり、なかなか熟睡感が得られないのが特徴です。こうした高齢者にとって、寝具は眠りを左右する
ものだけに、おろそかにはできません。高齢者がより深い眠りを得るための寝具選びのポイントを考えてみましょう。
掛ふとんは軽いほうが健康によい 重い寝具は体を圧迫し、疲労が取れない原因にもなります。9kgくらいある重い掛ふとんは、半分の重さ(4.5kグラム)の掛ふとんに比べ、血圧が大幅に上昇するという報告もあります。高血圧の高齢者ばかりでなく、掛ふとんは軽いほうがはるかに健康によいというわけです。
また、軽ければ上げ下ろしや持ち運びが楽ですし、取り扱いやすいということは高齢者にとって欠かせない条件です。
寒がりの人には保温性のある寝具を
「老人は寒がり」といいますが、これは年齢とともに代謝量が小さく発熱量が少なくなるためです。一般に高齢者の体温は若い人に比べて、0.2
~0.3度くらい低いのです。ですから当然、寝具には保温性が必要になります。とくに足腰が冷えて眠れないと訴える高齢者が多く、それを解消するために温熱治療効果があるといわれる商品が多数開発されています。
しかし、どれが効果があるかというのは個人差もあり、なかなか実証はむずかしいものです。匪話する側か健康と安全に注意して、確かな目で選んであげる必要があります。
タバコを吸う人は綿ふとんに要注意
ふとんを使用するとき、最も気をつけなければならないのは、タバコの火です。とくにこわいのは、綿ふとんの中で寝たばこをしていて、火を落
としてしまったときです。わたに火がつくと、わたの中でじわじわと燃えていくので、消したと思っていても、まだ火がついていたということが あります。
その点、羊毛ふとんは火をつけるとキュッと縮んで燃えにくい特徴があります。合成繊維も最近は難燃加工の製品が多く出てきています。
防炎寝具とは防炎素材を使ったものや防炎加工、難燃加工の施された素材を使用した寝具です。日本防炎協会の認定を受けた商品には防炎
製品ラペルがついているので、こういった寝具を選ぶことも大切です。万一に備えて、防炎製品で身を守ることも、高齢者には必要です。
2025年には高齢化がピークに達して、65歳以上の人が全人日の22パーセント以上を占めると予測されます。ひと口に高齢者といっても、元気 で若い人顔負けの行動力を示す人もいます。その一方、高血圧や心臓病など、健康に障害のある人も多く、そういう人にとっては、睡眠は体調を維持するために大切なものです。
寝具も含めた睡眠環境を整えることが、健康で長生きするための大切な要素でもあります。
安眠を誘うカバーリング
カバーリングで寝具のイメージを変える
シーツや掛ふとんカバー、ピロケースなどを総称してカバーリングと呼びます。以前はシーツやピロケースというと白が多かったのですが、最近は色やデザインも実に豊富です。1枚のふとんをカバーリングでいろいろな表情に変えることができるので、いまでは寝室のイメージづくりに欠かせないアイテムです。
カバーリングをする第一の目的はふとんを汚さないことです。ふとんをまるごと洗濯するのはむずかしいことですが、カバーリングならこまめに洗えて、いつも清潔に保つことができます。
ここちよい眠りに誘う色は?
さまざまな色、デザインのものが市販されていますが、ゆったりした気分で眠りにつける色といえば、ベージュ系です。白よりも目にやさしく安らかな気持ちにしてくれます。
暖色系のパステルカラーはくつろげる色といわれています。そのほか、ブルーやグリーンも鎮静効果があります。
寝具をモダンな感じにしたい場合は、チェック柄のピンクやブルー系、上品さや洗練した感じを出したい場合は、白の無地のものがよいでしょう。黄色やオレンジなどは個性的な空間づくりができます。
ここで、iは、マッサージオイルのリストを見つけるのですか
シーツとピロケース、ふとんカバーなどに同系の色や柄を使って、トータルーコーディネートするのも楽しいものです。この場合、柄で合わせるよりも、同じ色の濃淡で変化をつけるようにしたほうが、おしゃれな雰囲気になります。
新婚カップルの寝具は同色の濃淡で
新婚カップルの寝具は同じ柄で色違いのものをそろえることが多いようですが、'それよりも同柄で夫が濃いブルーなら、妻はそれより薄いブルーというように、濃淡で変化をつけるとセンスよくスイートな気分を表現できます。
日本の寝具は花柄が圧倒的ですが、これはわが国だけの特徴だとか。ふとんは昔"夜着"といって襟も袖もついた着物の形をしていました。いまではほとんど使われなくなりましたが、かいまきの原型となるものです。それが現在のような形のふとんに変わっていったので、着物柄に用いられる花柄が、いまもふとんに名残をとどめているのです。ですから、ふとんに限らず毛布、タオルケット、もちろんカバーリングも花柄が主で、また、人気があります。
小花をあしらったものや大きな花柄をイメージ的に表現したもの、ワンポイントとして用いたものなどいろいろな花柄の製品が売られています。
バリエーションも機能もさまざま
カバーリングは色やデザインばかりでなく、季節によって素材を変えることで、より快適な睡眠を得ることができます。夏の寝苦しい夜はクレープや麻などの素材が清涼感を与えてくれますし、冬の寒い夜は毛足のあるボア素材のものを使えば、ホカホカ暖かく休むことができます。
カパーリングは、機能面でも日進月歩の改良がされています。防ダニ加工のシーツは、気管支ぜんそくなどアレルギーの原因になるダニを防いでくれる画期的な製品です。
ユニークなところでは、フルーツの香りを織りこんだカバーリング。アロマ(芳香)効果でよりリラックスして休むことができます。ビーチやレ モン、ライム、オレンジ、グレープフルーツなどのフルーツの香りが、心までリラックスさせ、快い眠りに誘ってくれます。
タオルケットはどんなものを選べぱよいが
タオルケットは季節を問わす活躍する
タオルケットは素材やデザインが豊富になって、夏場ばかりでなく、オールシーズン大活躍します。刺しゅうやレースが施されていたり、きれ
いなパステルカラーやビビッドカラーなど色も豊富です。ふとんのようにメーンで活躍するよりは、ナイトライフのアクセントとして何枚か用意
して、楽しみたいものです。
織り方や加工のしかたで吸水力に差が
タオルケットは織り方や加工のしかたによってさまざまな表情が生まれます。
タオルケットといえば、吸水性の高い綿のパイル織りが主流ですが、最近はマイヤー編みのタオルケットに人気が染まっています。
パイル織り
表も裏も糸が輪になっている、顔や体をふくタオルでおなじみのタイプ。汗や水分を吸収する力は抜群で、さらっとした肌触りが特長です。パイルがそろっているものがよい品質ですから、パイルの状態をよく確かめてから購入しましょう。
シャーリング加工
パイルの表面をカットしたもので、ソフトな感触が魅力です。また、美しい色柄を表現しやすいこともあり、デザイナーズブランドに多くみられます。しかし、パイル地と比較すれば、吸水力が小さくなるのは避けられません。
マイヤー編み
マイヤー編み機で編んだもので、織りのタオルケットの「パイル抜け」の欠点をカバーした製品です。反面、洗濯すると、多少毛羽が落ちやすいという短所もあります。値段も高めでしたが、生産効率が向上したので、徐々に割安になってきました。寝室を彩るインテリアとして、季節に応じて変えてみるのも楽しいのではないでしょうか。
タオルケットの手入れ法
タオルケットは青や黄など鮮やかな色を使っているものもあり、洗濯するときに色落ちすることがあります。洗濯はほかのものと分けて洗い、すぐに干します。水を含んだまま、放置しないようにしましょう。色落ちも、最初の数回だけで後は徐々に落ち着いてきますが、色の薄いものとは別にして洗ったほうが無難です。
ものによっては洗濯すると毛羽抜けしたり、多少縮む場合もありますが、タオルケットは汗の吸収率が高いので、洗濯はまめにして、清潔に保ちたいものです。パイルの長い厚手のものは、なかなか乾かないことがあります。十分日に干して、すっかり乾ききってから取りこみましょう。
毛布の素材も多彩になった
毛布は保温性よりもデザインを優先する時代
毛布は、元来保温性が第一に求められる寝具でしたが、最近はさらに羽毛ふとんのように軽くて、暖かく、デザイン性も高い、それ自体が寝具の主役になるような機能を持った毛布が登場しています。
いまの住居は昔と違ってすきま風も入らず、快適な室温を保てます。住環境の変化によって、私たちは、以前と比べるとふとんや毛布に保温性以外にも求めるものが増えてきました。
軽くて薄いもの、肌触りのよいもの、抗菌防臭加工や防ダニ加工を施したもの、自分で洗える毛布といった、健康面や機能性を優先するようになったのが、毛布が多彩になってきた理由だと考えられます。
根強い人気の純毛毛布
天然素材の羊毛からできた純毛毛布は暖かく、弾力性があり、吸湿、透湿性に優れた毛布の代表選手です。ウール毛布の中でもメリノウールは、ウールの王様といわれています。これは、繊維が細く柔らかな最高級ウールです。
毛布の素材としては、質感、保温性に優れているので、根強い人気があります。
なお、品質の優れたウール毛布には基準合格認定書ウールマークがついています。ウール毛布を購入するときはこのマークがついて
いるかどうかを必ず確かめましょう。
日進月歩がめざましい合繊毛布
合繊色布の中でもアクリル已布は、主にマイヤー毛布、ニューマイヤー毛布という名称で呼ばれています。
マイヤーとはカールーマイヤーという編み機で生産される毛布の総称です。2枚の毛布を張り合わせたボリュームのあるマイヤー毛布は発売されると人気を得て、現在では合繊毛布の生産量の90パーセントを占めています。
カードにリボンを結ぶする方法
一方、ニューマイヤー毛布はさらに薄く、暖かさを追求した毛布で、基布が1枚で、片面が起毛されています。マイヤー毛布(重量は約2.5kg)に比べて軽く、そのうえ、最近の技術革新で極細の合繊が誕生したので、素晴らしい肌触りの製品もできました。
また、アクリルは発色性がよいので、ビビッドな色、柄の毛布も製造が可能です。
これまで、合繊毛布はアクリルが主でしたが、ポリエステル繊維の毛布も最近、話題になっています。これは、純毛や綿毛布に対抗できるような風合いを持ち、超極細繊維を使っているので、シルクのようなしなやかさがあります。
肌触りがやさしい綿毛布
綿毛布は、もともと戦争中に軍隊で使われていたものでした。物資の乏しい戦時中は、ウールを使いたくても困難で、国産の品質の劣った綿やスフを使用していました。保温力が弱かったため、戦後、その欠陥をカバーする合成繊維が登場した段階で、綿毛布ははかなく姿を消しました。
ところが、現代はナチュラルな素材がもてはやされる時代です。保温力も昔ほど重視されなくなり、肌触りや軽さというものにウエートが置かれるようになり、綿毛布が一躍クローズアップされてきました。
綿毛布にはしなやかで、肌触りのよい良質な木綿が使用されているので、吸湿性、通気性に優れ、水に強い特性を持っています。ですから、繰り返しの洗濯に耐え、汚れも落ちやすく、常に衛生的な状態で使うことができます。アトピー性皮膚炎などで悩むアレルギー体質の人にも最適です。
綿毛布は年間を通して使えるというメリットもあります。夏はタオルケット代わりに、冬は掛ふとんの下に使うと、肌にやさしい最高の寝ごこち
が得られます。
毛布カバーは必需品
ふとんに比べて毛布にカバーをかける家庭は少ないようですが、毛布カバーは必需品です。カバーを掛けると保温力が高まります。素材は吸湿性、密着性のあるガーゼがよいでしょう。
電気毛布の使い方
人体は発熱体であるということは前述しましたが、体質的に発熱量が少なかったり、寒さで体が冷えきってしまう場合は、体の外から温めることが必要になります。体から熱が逃げるのを防ぐだけでなく、加熱して、温めるのが電気毛布です。
しかし、奥平進之氏(東邦大学助教授)らの研究では電気毛布を使用すると、就寝時に本来低くなっていくはずの体温が、十分に下からないことが指摘されています。そのため、目覚めもすっきりしないこともあるのです。
では、電気毛布を効果的に使うにはどうしたらいいのでしょうか。
快適なレベルは人それぞれ異なるので、まずは自分に合った電気毛布の温度を探すことから始めます。
電気毛布のダイヤルを低めに抑えて、自分の体に合う温度を見つけていきます。電気毛布に入った瞬間はだれでも快適さを感じます。しかし、高い温度のままで続けて使ってはいけません。次の日はより低い温度で寝てみて、また次の日はもっと低い温度で寝てみる―これを何日か繰り返して、最も目覚めのよかった温度を探します。その温度があなたの電気毛布を使用した場合の快適な温度です。
とくに高齢者や幼児などの体温調節機能の弱い人が使う場合は、十分な注意が必要です。なお、高齢になるほど自分自身からの発熱量が低くなるので、電気毛布を上手に使って、快適な寝床条件を得ることはよいことです。
自分に合つた枕を探そう自分の頚椎の高さに
合わせるのがポイント
人間は立って歩いているために骨格上、類推が脊椎に対して、前かがみの状態になっています。つまり、理想的な枕とは、寝ている状態でも、人間が立っているときと同じ姿勢がとれる枕です。
これまでの研究結果によると、適度な枕の高さはあごの部分で約8cmくらいあるとよいといわれていましたが、最近では、これでは、高すぎて合
わないという人も増えてきました。
そこで、まずは自分の頚推の高さを測り、その高さと同じ高さの枕を選ぶべきであるということが寝具メーカーなどで盛んにいわれています。
ひとりではできませんので、家族や友人に手伝ってもらって計測してみましょう。
現在販売されている枕は低いもの(2~3cm)、中程度のもの(3~4cm)、高いもの(6cm以上)とだいたい3段階に分かれています。その中から、自分の頚椎弧に近い高さのものを選ぶのがポイントです。
枕の頚椎にあたる部分を手で軽く押した高さが、実際寝たときの高さになります。羽毛などのかさのある枕などは押してみないと、寝たときの
高さがわかりませんので、必ず押してみてください。
大手のデパートや寝具店では、最近はコンサルタントがいて、類推弧を測ってくれたり、体の状態に合わせた枕選びのアドバイスをしてくれます。
また、枕を試用できるコーナーを設置してある店もありますので、これらを利用して自分に合った枕を選びましょう。
へたりが起こつたら買い替える
枕は長く使っているとへたりが起こります。1年でそばがらは10パーセント、パンヤは40~50パーセント、羽根枕は5パーセントくらい目減り
します。へたりがひどい場合は枕を買い替えて、自分に合った高さを常に保つことが大切です。
大きさは肩幅以上が目安
人はひと晩に20回は寝返りを打つといいます。寝返りは体が欲求する動作なので、枕はこれを妨げない大きさが必要です。
理想的な枕の人きさは横は60cmくらいで、縦は43cmくらいがよいでしょう。肩幅以上の大きさがよいと思われます。
枕が原因で体にトラブルが生じる?
枕が高すぎる場合
あごを引いた状態になってしまうため、類推の湾曲に無理な圧迫が加わります。肩こりなどの血行障害が起こりやすくなります。
枕が低くすぎる場合
頚椎が伸びきって、首が圧迫されてしまいます。顔がむくんだり、肩こりなどの症状が現れる場合もあります。
弾力がありすぎる場合
安定感に欠けるので、筋肉を刺激し、安眠が妨げられてしまいます。
柔らかすぎる場合
頭が枕に沈みすぎると、頭と首を支えられずに、不安定な姿勢になり、熟睡できません。
硬すぎる場合
中枢神経が刺激を受け、なかなか寝つかれないか、寝てもすぐに目を覚ましてしまうことになります。
枕をしない場合
最近とても増えてきた「枕なし派」の人は、類推弧がなくなってしまうので、類推が伸びきって、首が圧迫されてしまいます。枕なしで寝るよりは自分に合った低い枕を使ったほうがよいでしょう。
素材は通気性、放熱性に優れたものを選ぶ
「頭寒足熱」という言葉がありますが、頭部は体温より低めに保つのがよいとされています。そういう点では、枕の素材は通気性、放熱性に優れたものが適しているといえるでしょう。
昔からあるそばがらは通気性に優れ、熱がこもらないので、頭がむれません。パンヤやフォームラバーと比較しても、そばがらは精神的な安定性を高めるという研究結果も報告されています。
羽根枕も放熱性に優れていますが、羽根が吹き出すことがあるので、吹き出し防止加工が施されているものを選びましょう。
最近では、小豆、茶の実などの植物の実、竹、石やセラミック、ボール状やパイプ状のプラスチックなど、頭冷効果をもつ素材のものもあります。また、頭部は硬いそばがらを入れ、他の部分はクッション性のある合繊わたを使うなど複数の素材を組み合わせたタイプもあります。
こんなにある枕のバラエティー
ロー&ハイ枕そば
枕が高すぎるときは、中身のユニットをはずして高さを調整できます。
ロー&ハイ枕エアボール
約1000個のエアボールが頭部を適度に刺激します。
サーヴィカルピロー緑風
香り豊かな樹木の素材を使ってあるため、森林浴気分が楽しめます。
サーヴィカルピロー羽根
首の部分は硬め、頭部は柔らかめ、周囲はやや硬めの三段構造。
ダンロピー
3000以上のピンホールと無数の気泡があり、通気性抜群です。
フリーピロー
12のキルティングが加工してあるため、折り方で好みの高さに調節できます。
様様楽
両端が高くなっているので、無理なく頚椎を支えられます。
頭冷ピロー
頭部の最もむれやすい部分に空気が入る仕組みになっています。
マットレスはどんなものを選べばよいのか?
ウレタンは持つてみて重みのあるものがよい
敷ふとんの下に敷くマットレスは、主にウレタンフォームからできています。ウレタンは多孔性の合成ゴムで、その特長は軽くて、弾力があり、丈夫でほこりが出ないことです。
ウレタンは比重が大きいものほど孔が密で、こしも強く、耐久性にも優れています。ウレタンのマットレスを選ぶときは、持ってみて重みのあるものを選ぶと間違いありません。
種類としては1枚もの、収納が楽な3つ折り、6つ折りタイプなどがあります。畳むとソフア、伸ばせばベッドになるという2つの機能を備えたマットレスもあります。
マットレスにも敷ふとんから湿気が移るため、ダニの温床になりがらですから日ごろの手入れが大切です。
ウレタンは直射日光をあてるとボロボロになるので、カバーをしたまま陰干しにして、湿気を除きましょう。
マットレスも硬めのものが人気
マットレスは、敷ふとんとセットで使用するものですから、理想的な寝姿が得られるような組み合わせ方を考慮することが大切です。
現在使っている敷ふとんがせんべい状になっていたら、その下にマットレスを敷いてみてください。ふとんから失われたクッション性が出て、前述した理想の三層構造に近い形になります。
最近ではマットレスも敷ふとんと同様、硬めのタイプやマットレスと敷ふとんが一体になったものなど新製品が登場しています。
上手なベットの手入れ方法
ベッドは上手に使えば一生使えるものですから、手入れをきちんとして長持ちさせたいものです。大きいものなので、ひとりで移動するのが無理な場合は、家族で協力して手際よく行いましょう。
ベッドの生命はマットレスです。いつまでも安定した寝ごこちを保つために、次の点に注意して取り扱ってください。
ベッドの生命はマットレス
マツトレスはときどき裏返す
前述したように、私たちの体は、体圧が均等ではありません。最も重いのが脊部、次に重いのが胸部です。ベッドに横になると、これらの部位がほかの部位よりも深く沈みこみ、マットレスのスプリングに負担がかかります。その結果、マットレスが部分的に変形したり、ほかの位置のスプリングに比べて、傷みも早くなります。
このような傷みを防ぐために、ときどき、マットレスを裏返したり、180度回転させます。新しいマットレスは1か月に1回、2年目からは2~3か月に1回で十分です。
マットレスの裏返し方にはちょっとしたコツがあります。左のイラストを参考にして行ってください。なお、フットボードのあるベッドの場合もこの手順と同じです。
ヘツドボードばからぶきする
ヘッドボードは、目に見えなくてもほこりゃ手あかで案外汚れています。凹凸のない乾いた布で軽くふき取ってください。
マットレスは絶対に曲げない
極端に曲げたりすると、内部のスプリング・ユ二ットを傷める恐れがあります。
ベッドの上で飛んだりはねたりしない
子どもにトランポリン代わりにして遊ばせるのはよくありません。マツトレスは濡らさない
万一、飲み物などをこぼしたりしたときは、すぐにふき取りましょう。このようなときにベッドパッドを使用していれば、水分を吸収してくれるので、よほどの量でない限りマットレスに浸みこむことはありません。ベッドには必ずベッドパッドを敷いて、マットレスの保護をしてください。
取つ手を使つで持ち上げない
取っ手はマットレスの位置を直すようなときだけ利用するものです。
ボトムも傷んでいないか点検してみる
よいマットレスは、よいボトムと組み合わせてはじめて効果があるものです。ボトムが傷んでいたりすると、マットレスの寿命や寝ごこちに影響を与えることになります。
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